活性酸素種(ROS)は、体内で自然に生成される物質ですが、過剰になると「酸化ストレス」を引き起こし、様々な病気の原因になります。
2024年7月、アラブ首長国連邦の研究チームが、水素吸入療法(HIT)がROSレベルを効果的に減少させることを示す研究結果を発表しました。今回は、その研究について解説します。

研究の概要
まずは、今回の研究内容について簡単に見ていきましょう。
参加者について
この研究では、まず67名の候補者を対象にROSレベルのスクリーニングを実施。d-ROMsテスト値が350 U.CARR以上(活性酸素レベルが高い状態)の37名が研究対象となりました。
これら37名のグループ分けは以下のとおりです。
- 水素吸入グループ:18名
- コントロールグループ:19名(吸入なし)
- 平均年齢:水素グループ33歳、コントロール35.8歳
筆者活性酸素レベル(ROSレベル)が高い人だけを対象にしているのがポイントですね。本当に効果が必要な人で検証しています。
水素吸入の方法と測定方法
研究で用いられた機器は、1分間に1,447mlの水素と723ccの酸素を生成して排出する水素吸入器が用いられました。
吸入は、鼻カニューレを用いて1時間実施されています。
ROSレベルは「d-ROMsテスト」という方法で測定。これは血液中の過酸化物質を測定する信頼性の高い検査です。
測定タイミングは、吸入前(T0)、吸入直後(T1)、吸入から24時間後(T24)の3つとなっています。
主な結果:ROSレベルが大幅に減少
この研究の主な結果は以下のとおりです。
- 水素吸入グループでは、ROSレベルが統計的に有意に減少
- ✅ 吸入直後(1時間後):平均15.0%減少(-8.8%〜39.7%の範囲)、p値 = 0.001458※
- ✅ 24時間後:平均23.3%減少(4.5%〜43.8%の範囲)、p値 = 0.000006
- 水素を吸入しなかったグループでは、ROSレベルに有意な変化なし
上記の結果から、水素吸入をすることで体内の活性酸素のレベルが低下することがわかりました。
特に注目すべきは、吸入直後よりも24時間の方が減少率が大きいという点です。これは水素が体内で持続的に作用している証拠です。



また、時間が経つほど効果が高まるのかもしれません。
水素が活性酸素を減らすメカニズム
研究論文では、水素がROSを減少させる仕組みについても解説されています。
1. 選択的な抗酸化作用
水素は特に有害な活性酸素(ヒドロキシルラジカル・OH)を選択的に除去します。体に必要な活性酸素は残しつつ、有害なものだけを減らす優れた特性があります。
2. 細胞内への浸透
水素は最も小さな分子なので、細胞膜を簡単に通過して、細胞内部(ミトコンドリアや核)まで到達できます。
3. 持続的な効果
研究では、豚の静脈血中で吸入後1時間経っても水素が検出されたという報告も引用されています。これが24時間後も効果が持続する理由です。
私の感想
この研究を読んで、特に興味深かったのは「24時間後の方が効果が高い」という点です。
私自身、毎日寝る前に1時間ほど水素吸入をしていますが、翌朝の目覚めの良さや日中の体調を実感していました。この研究結果は、私が感じていた効果を科学的に裏付けてくれるものでした。
吸入直後よりも24時間後の方が効果が大きいということは、一度吸入すれば、その効果が翌日まで持続するということ。つまり、毎日続けることで、常に活性酸素レベルを低く保てる可能性があるわけです。
また、この研究ではROSレベルが高い人(350 U.CARR以上)だけを対象にしている点も重要です。実際に酸化ストレスがある人に対して効果を示したことで、予防だけでなく、すでにストレスを抱えている人への有効性も示唆されています。
ただし、37名という比較的小規模な研究であることや、より長期的な効果についてはさらなる研究が必要です。それでも、血中のROSレベルという客観的な指標で効果が証明されたことは、大きな前進だと感じています。


まとめ
今回の研究により、1時間の水素吸入で血中ROSレベル(活性酸素)が有意に減少し、その 効果は24時間持続し、時間経過とともに増大することが示されました。
水素吸入でROSレベルの低下が、どのような病気予防や改善につながるのかは今後の研究課題となりそうですね。
水素吸入療法は、酸化ストレスに関連する多くの疾患(心臓病、脳卒中、炎症性疾患など)への応用が期待される分野です。今後の研究の進展に注目していきましょう。
※本記事は研究論文の紹介であり、医学的アドバイスではありません。水素吸入を検討される場合は医師にご相談ください。






